オールうまいものノート

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映画「OVER DRIVE」感想/ラリーってこんな競技なんだ!走る弟と直す兄。

一足お先に6月1日公開の「OVER DRIVE」を見てきました。

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OVER DRIVE」、面白かったですよ。

「今年のワースト候補」とか「地雷」とか言われてるのを見ると、しょんぼりしてしまいます。

同日公開の「デッドプール2」は絶対見るし、時間があったら見ようかな……ってテンションの人が多いかもしれないですね。

でも、見に行こうよ!見に行ってほしい!

レディ・プレイヤー1」や「インフィニティ・ウォー」で盛り上がってた映画ファンにも見てほしい!

というわけで、「OVER DRIVE」がどんな映画だったか書いていきます。

 

正反対でぶつかってばかりの兄弟 

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これがこの物語の主人公となる兄弟です。

兄・篤洋はレースを走る車を整備するカニック、弟の直純は車に乗ってレースを走るドライバーです。

この兄弟は仲が悪いらしく、冒頭からめっちゃ喧嘩してます。

兄はもちろん車体の状態を誰よりも知っているので、「こうしろ」「ああしろ」と冷静に助言するのですが、弟は全く聞きません。

車体の状態を省みず、怖いもの知らずの攻めた走りを続けるのです。

 

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兄の篤洋を演じる東出昌大さんは、「」の演技をするイメージが強い人です。

寄生獣」や「散歩する侵略者」における無感情なキャラクター演技、あるいは「聖の青春」における本物と見まがうような達観した羽生善治の演技などが思い出されます。

 

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一方、弟の直純を演じる新田真剣佑さんは、「」の演技をするイメージが強い人だと思います。

演じるキャラクターにのめりこむタイプで、「ちはやふる」で演じたキャラクターの名前を芸名にするほど。「ジョジョの奇妙な冒険」での億泰の憑依っぷりは図抜けてましたよね。

 

 

一瞬恐怖すら感じるほどの冷静な演技が魅力の東出さんと、アツいエモーショナルな演技が体から溢れんばかりの真剣佑さんという正反対の俳優2人が兄弟を演じるんです。

より2人の対比が浮き彫りになって、化学反応起きてたなあと思うわけです。

 

ところで俳優は、東出さんのような「スタータイプ」と、真剣佑さんのような「憑依タイプ」の二種類に分かれると常々思っているのですが、その話はまた今度。

 

映画「OVER DRIVE」は「ラリー」の映画

ラリーってどんなスポーツ?

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主人公の兄弟が取り組んでいるのが、カーレース競技だと聞いて、どんな場面を思い浮かべますか?

 

私の場合、車に乗って行う競技といえば、「カーズ」みたいなサーキットレースのイメージでした。

出場者が「よーいドン」で一斉に走り始めて、一番最初にゴールした車が勝ち。それだけがカーレースだと思っていました。

 

でも、「OVER DRIVE」で描かれる「ラリー」というスポーツはそれとはまた違いました。

ラリーって、山道や市街地などいろんな場所の公道のコースをいくつも走って、すべてのコースの通算タイムを競うんですね。

だから「よーいドン」で一斉に走る必要がないので、1台ずつ走ります。

また、1日では終わらずに何日もレース期間が続きます。

(競技のシーンの走りっぷり、迫力だったな~)

 

  • 期間が長い&公道を走るので車体への負荷が大きい
  • コースや天候などのコンディションに合わせて臨機応変に車体の調整が必要

以上の2つの理由から、ラリーではドライバーのテクニックや精神力と同じくらい、メカニックの腕や判断の的確さが、レースの勝敗に関わってくるのです。

 

ドライバーはタイムを一秒でも短くすることを考え、

カニックは一秒でも長く走り続けられるメカにするために頭を悩ませる。

 

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カニックの彼らは車にこそ一緒に乗っていませんけれども、チームの一員です。

ラリーはチームで戦うスポーツなんですね。

門外漢の私にも、映画を通してそれが伝わってきました。

 

 

ラリーは私たちの生活と地続きのスポーツだった

さらに面白いなと思ったのは、ラリーにおける車体の整備や改良が産業的な開発と地続きであるところです。

ラリーでは、レースの真っ只中に、いきなり開発されたばかりの新しいパーツが導入されます。

試作段階の部品が突然組み込まれることによって、走りが不安定になってしまうこともあるんです。

映画の中では、篤洋と直純のライバルに当たる、天才若手ドライバー・新海彰さんの乗る車に新しいパーツが導入され、一時スピードが落ちてしまう、というシーンもありました。

 

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新海彰さん。「君の膵臓を食べたい」や「勝手に震えてろ」で存在感を見せつけた北村匠さんが演じます)

 

誰が言ったかは失念しちゃったんですが、「新しいパーツは走って慣らす!それがラリーの醍醐味だろ」みたいなセリフがあって、へぇ~~!って感心しました。

ふつうは全力を出したいレース中に、成功が保証されてない新しいパーツなんか使わないじゃないですか。

カニックの彼らはスポーツマンであり、工学技術者でもあるんです。

だから、レースで勝つことを望むと同時に、自分たちが作ったパーツがより良いものになることを望んでるんですね。

 

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物語の中では、レースに使用されたのち改良の上、乗用車に応用されるまでになったパーツも登場してきました。

スポーツから生まれた知恵が、直接的に私たちの生活をより良くする。

こういった描写を見て、さらに「ラリーって奥深いスポーツなんだな~」と楽しくなりました。

 

というわけで、ラリーって面白いし、メカニックたちの仕事っぷりはかっこいいし、レースの勝敗も兄弟の確執のゆくえも気になるし、魅力的な俳優さんたちもたくさん出ているし、で楽しいことだらけだったんですが。

ちょっと「うーん」と好きになれない部分もありました。

 

申し訳程度の女性キャラとホモソーシャルな世界観

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この映画、森川葵さん演じるマネージャー以外にはほとんど女性キャラが出てないんですよ。

んん~男性が多いスポーツだということはもちろん加味した上でも、今時それはちょっとないんじゃないか……。

世界ラリー選手権WRC)を観戦したことについて)男性だけでなく女性も参戦しているし、やっぱり、イケメンのドライバーもいる。女性にも親しみを持ってもらえるポイントがたくさんあります。

(引用:https://eiga.com/news/20180418/1/

森川葵さんがインタビューでこんなことを言っているのも、意味を深読みしてしまいます。

実際のスポーツには女性も参加しているのに、フィクションで参加させないってどういうことなんだろうか……。

 

唯一の女性キャラが外部から派遣されてきたマネージャーっていうのも、違和感。

チームの一員には入れてくれないんですね。(心はつながってたと思うけど)

 

篤洋と直純の幼馴染も、白いワンピース着て海辺で2人を待っているなんて、少し記号的すぎやしないかな……。

一緒に自転車レースに参加してもよかったはずです。

 

さらに言うと、冒頭の吉田鋼太郎さんのセクハラ描写は、さらっと流せない胸糞の悪さを感じてしまいました。

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う~~~ん~~~……。

彼や直純が侍らせる美人の女性とか、飾りでしかないよね。舞台セットだよね。

 

そろそろこういう形骸化された時代遅れの描写とは、縁を切ったほうがいいのではないでしょうか。

日本が舞台だからこういう描写になってしまうということは絶対にありません。

ちゃんと新しい価値観を呈示している邦画はたくさんありますから。

 

「みんなそれぞれ信念があって、必死に頑張って生きてるんだ」

そんなテーマを扱った作品としてはとても残念なことだと思います。

 

その後のアツい展開や俳優陣の熱演で、「良い!」と思えましたが、前半は結構長いことモヤモヤしてました。

 

 映画「OVER DRIVE」おすすめです

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そんな、モヤモヤした部分もあった映画なのですが、ぜひいろんな人に見に行ってほしいです。

王道に熱い展開や、ラリーというスポーツならではのカッコイイ描写、若手を中心とした演技派俳優たちの熱演、見どころはたくさんあります。

そして何より、今の日本映画の可能性と、そして課題が詰まっていると思います。

映画が好きな人に見てほしい、たくさんの人の感想を聞きたいです。

 

だから……

おすすめです!!