オールうまいものノート

映画メインにときめきをつらつら。

映画「ダンガル」感想/負けず嫌いな父から負けず嫌いな娘へつながる。

「ダンガル きっと、つよくなる」を見た感想です。がっつり結末までネタばれしてるのでご注意。

f:id:kasumigaseki0822:20180408180527j:plain

これほど人におすすめしたい映画にはなかなか出会えないよ!

主演がみんな大好きアーミル・カーンなんだぜ

アーミル・カーンといえばあのビル・ゲイツが「ぜひ会ってみたい」とインドまで足を運んだというほどの、インドの国民的大スター。主演を務めた「きっと、うまくいく」や「PK」などは日本でもかなり高い評価を得ています。

彼が今回「ダンガル」に出演するために27kg体重を増やし、その後27kg体重を落としたという、驚きのストイックエピソードも聞こえてきますね。クリスチャン・ベールか。

ちなみに体格差だけでなく年齢差の幅も広くて、

f:id:kasumigaseki0822:20180408181930j:plain

今回はおそらく50~60歳のお父さんを演じてるんだと思いますが、

f:id:kasumigaseki0822:20180408182033j:plain

たった9年前に大学生の役をやってるっていうね。(当時44歳くらい)

「ダンガル」でも現役時代のマハヴィルパパをしっかり自分で演じてましたね。

そして彼の特に素晴らしいところは歌、ダンス、そして高い身体能力というパフォーマンスの部分。この映画ではそういったシーンはほとんどないんだけれども、主題歌「ダンガル」のPV、見てくれ、ぜひ見てくれ。


Dangal | Official Trailer | Aamir Khan | In Cinemas Dec 23, 2016

なんてかっこいいのか。

と、彼の最新作ということだけでもかなり楽しみだったので、早速公開日にレイトショーで見に行ってきました。

 

映画「ダンガル」に込められたメッセージは?

で、アーミル・カーンは社会的なメッセージを自分の作品に込めることで有名な人なんですよね。たとえば「きっと、うまくいく」では学歴競争や格差社会を取り上げ、「PK」では宗教と差別、偏見について取り上げてます。

 

そして「ダンガル」で描いているのは、実在の女性レスリング選手の人生に象徴される、インドでの女性の権利についてです。

特に、下の2つのシーンにすごくストレートにメッセージが込められてたと思います。

①友人の女の子の結婚式シーン

あんまりにもスパルタな父親に反抗するために、主人公マハヴィルの娘、ギータとバビータはレスリングの練習をさぼって友人の結婚式に参加してバカ騒ぎします。

そこへ怒り狂ったマハヴィルが乱入してきて、なぜか一緒に遊びに来ていた従兄弟君の頬をパーン!と殴って帰っていきます。(たぶん、価値観として娘は殴れないんですね)

会場は騒然。娘たちも父親のあんまりな仕打ちに呆然とします。

「あんな父親いらない」と、花嫁に愚痴をこぼすギータですが、幼い顔の花嫁は言います。

「私はあんな父親が羨ましい」

彼女は幼いころから父親に家事を仕込まれ、14歳で知らない男にこれから嫁ぐのです。それを聞いたギータたちはハッとして、また辛いトレーニングに励み始めます。

②大会前にマハヴィルが言った励ましの言葉

大会を前にして緊張しているギータに、マハヴィルは「お前の勝利はインドの女性たち全員の励みになる」というような言葉をかけます。(うろ覚えでごめんなさい)

「女は家事」の村で育ったギータが、男性もまだ成し遂げていないレスリングでの金メダルを勝ち取れば、それは今の状況を変えたいと思っている女性たちに希望を与えることになるからです。

この言葉をかける直前に、マハヴィルは小さな女の子に「ギータに渡してほしい」とお守りをもらっているので、自分の望みをかけて目指した金メダルが、多くの女性たちにとっても意味のあるものになっていると気づいたのだと思います。

 

こういった演出があったために、あのクライマックスが見ている私たちの心により大きな感動を与えるものになりました。

 

クライマックスで彼がいなかった理由

ところで、ギータがついに勝利したその瞬間、父・マハヴィルは嫉妬したコーチの策略で用具室に閉じ込められ、その雄姿を目にすることはできませんでしたよね。

私それがすごく残念で、せっかくギータが勝利したのを喜べないくらいに切なくなったんです。だって、あんなに長ーくながーく執拗に追い続けた大きな夢がかなう瞬間を、それに愛する娘の晴れ舞台を、見られないなんてかわいそうじゃないですか。

でもその反面、彼があの場にいなかったことにもちゃんと意味があるんだろうなあとも思いました。

男女関係なしにギータたちをスパルタに育て上げたマハヴィルは、「女性も男性も平等に扱うカッコイイお父ちゃん」にも見えるかもしれませんが、一歩間違えれば「子供に自分の夢を押し付け、子供らしく女性らしく生きる自由を奪った」自分勝手な人にもとれます。

アーミルが演じるマハヴィルはチャーミングだけど、やったことがすべて正しかったわけでは決してないと思う。娘たちの将来を壊す結果に終わらなかったのは、運や偶然も絶対にあったと思うんです。

 

だからこそ、ギータがマハヴィルのいないところで自分一人の力で勝利したことは、ずっと背負い続けていた父親の夢を、自分自身の夢に昇華させて、自力でそれを叶えたということに他ならない。

マハヴィルにとっては無念だったでしょうが、あの部屋で全身に浴びたインド国歌だけでも、充分すぎるくらいだったんじゃないでしょうか。素晴らしいシーンですよね。

 

感想まとめ

と、いうわけで、思うところ全くないわけじゃないですが、エンターテイメントとして、そして昨今の「Metoo」の流れにもしっかり対応している大傑作だと思います。

いやあ、インド映画ってすごく気持ちよくストレートだよなあ!

日本人なら恥ずかしがったり、アメリカ人なら繰り返されすぎているために避けるような表現を、まっすぐに伝えてくれるのが魅力だよなあと感じるわけです。

 

物語を動かす重要なキャラクターである、あのおひげの従兄弟くん、よかったよね。どんな目にあってもポジティブで楽しそうでさ。彼がいるおかげでスパルタ教育が虐待チックに見えないようにバランス取れてたと思うな。

あの人は実在しないのかな?(笑)