映画を食べるたぬきのブログ

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ハッピーエンドをイメージして唄うよ「夜明け告げるルーのうた」感想

夜明け告げるルーのうた」見てきた。
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すごくよかったよ。

監督は「四畳半神話体系」「ピンポン」の湯浅政明さん。

っていうだけでも、見たいアニメファンはかなり多いと思う。

 

物語の舞台は閉鎖的な海辺の田舎町。

主人公のカイは小さな頃に自分を置いて出ていった母親のこともあって、何事にも無気力で無関心な少年だった。

しかし、音楽に寄ってくる人魚・ルーとの出会いによって、カイの毎日は大きく変容する。

 

小さな女の子の人魚と少年の邂逅、海を自在に操るルーのパワーを見て、「崖の上のポニョ」を連想する人は多いだろう。

実際、すごくポニョを意識した作品だし、オマージュと言っても間違いないくらいだと思う。

2008年に公開された「ポニョ」を改めて今やる、これに意味があるのは、今が「3.11以降の日本」だからだ。

 

実をいうと私は前半この物語に乗り切れず、「素晴らしいアニメーションだが、好きな作品ではない」という感想を固めつつあった。

しかし、そんな感想は後半で綺麗にひっくり返されることになる。

この映画は、「あの時あの場所にポニョがいてくれたら」を描いた作品だった。

ポニョが皆を助けてくれたら。あの日会えなくなった大切な人にまた会えたら。

そんな、現実では果たされない切ない願いや祈りの詰まった映画だった。

 

思えば去年の「君の名は。」にもそういう要素があった。

震災後を生きる日本人の心に残る後悔。

何もできなかった自分を責めるような気持ち。

そういうものが「夜明け告げるルーのうた」にもこもっていて、そしてこの作品は実際に彼らを助けてくれた。

お礼が言いたくなるような、幸せで切ないハッピーエンドだったのだ。

 

震災のことを思うと、私は波にさらわれた多くのわんちゃんのことも思い出す。

家族が避難して、置き去りにされたわんちゃんのことも。

夜明け告げるルーのうた」は、あの時のわんちゃんたちも救ってくれたんだ。

それを思い出すだけで、観賞後何度も泣きそうになっている。

 

正直、登場人物の感情の機微がうまく描けているとは思えなかった。

特に主人公の中学生たちの淡い恋愛描写。

カイがルーを好きになるのも唐突に思えた。

(幼女的見た目のルーがカイにキスして、彼があそこまでメロメロになっちゃうのも、ちょっと……)

夜は短し歩けよ乙女」や「四畳半神話体系」でも、原作に見られた主人公と黒髪の乙女の恋愛描写が薄くなっていたことを思うと、

もしかして湯浅さん恋愛を描くのが苦手なのでは……とも感じてしまった。

一方でカイのお父さんが息子に対して抱える思いや、終盤でとある2人が大切な人と再会するシーンは素晴らしく感動的だっただけに、ちょっと残念。

 

しかし、昨年の「君の名は。」から続く日本アニメーションの盛り上がりに拍車をかける作品であることは間違いない。

キャッチーな「夜は短し歩けよ乙女」の方から公開して、翌月のオリジナル作品にお客さんを流すというやり方も成功していたと思う。

四畳半ファン大抵見に行くだろうし。

 

ところで、「夜は短し」のロバート秋山さんと違って千鳥のふたりの出演シーンはそれと丸わかりだったけど、

だからこそ田舎っぽさが増していてよかったと思う笑

キャスティングすごい。

 

オープニングクレジットの入り方とか、カイが初めて歌うシーンの力強いちょいヘタさとか、パパが怖すぎるけどかわいいとか、カイのお父さんがかわいいとか、いろいろ言いたいことはあるけど、この辺で。

もうすぐ公開縮小してっちゃいそうなので、お早めに劇場へ。