たぬきの映画日記

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【映画】「ザ・コンサルタント」

※ネタバレ注意

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無口な会計士が、実は凄腕の殺し屋。

よくあるようなシンプルな設定だけど、実際に観賞したあと、私はこの映画を一言では言い表せないでいる。

ちなみに「会計士」と「殺し屋」のほか、主人公の特徴は「自閉症」。

ここがこの映画の大きな特徴である。

 

物語で印象に残っているのは、終盤の「主人公とその弟との再開シーン」。

てっきり、弟は自閉症である兄を怨んだり嫌ったりしているのではと思っていた。

その感情を募らせて、主人公の敵として立ちはだかることすらあるかもしれないと想像していた。

なぜなら過去の回想シーンを見るに、彼らの母親が家を出ていったのは、主人公の自閉症に原因があることは明らかだったし、

父親は主人公に構いきりであるように見えたからだ。

弟が兄を逆恨みしたとしておかしくない。

 

しかし、久しぶりに兄と再開した弟は、多少(なんで連絡してくれなかっただの、母親の葬式に呼んでくれてもよかったじゃないかだの)の小言はぶーたれたものの、

純粋に会えたことと兄の無事を泣いて喜んでいたのである。

勝手に兄弟間の軋轢を想像していた私が野暮だったのか。

 

「障害を持つ」人を主人公にした映画と聞くと、その人や周囲の人々の「障害」との向き合いかたや、乗り越える過程を描く物語のように思われる。

しかし、「ザ・コンサルタント」の主人公であるクリスチャン・ウルフは、とっくの昔に「障害」と呼ばれる自分の個性「自閉症」と向き合い、乗り越え方を見いだした人間なのだ。

そしてそれは、幼い頃からずっと彼のとなりにいて、彼の障害を見てきた弟にとっても、同じなのだろう。

もう、とっくに受け入れ済、了承済の問題だったのかもしれない。

 

クリスチャン・ウルフにとって自閉症は、会計士の仕事をやる上でも、殺し屋の仕事をやる上でも、全く言い訳にはならないのである。

壁にぶち当たらないわけではない。

きっと時たま、人と違う己を再度目の当たりにして途方にくれることもある。

でも、乗り越えかたを知ってる。彼は自分がどうやって生きるのが都合がいいかを知ってる。

 

というわけで、「自閉症」という世間一般では「障害」や「ハンディキャップ」として処理される特徴を、ただそこにあるものだと受容する、懐の広い大人映画だった。

ベンアフレックのなんとも言えない絶妙な表情と、特有の生活スタイル描写が面白いので、そこもオススメ。